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国が想定する病床機能の理想と現実

マンスリーコラム「経営に一言」2017.07.01

 向暑の候、皆様におかれましては、益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。

 さて、早速で恐れ入りますが、先日、厚生労働省の地域医療構想に関するワーキンググループは、今年10月に実施する2017年度病床機能報告制度から構造設備・人員配置等に関する項目を追加・見直すと公表しました。具体的には、新たに医師・歯科医師数や現在稼働していない病床がある場合、その理由を併せて報告することが求められています。人員配置や未稼働となっている病床数を明確化することで、今後の地域医療構想を具現化する動きを示しています。

 2025年に向けて地域医療構想では、全国の入院病床数は2013年の約134万床から約11.6%減少するとの結果が表れていました。詳細については、2025年時点での必要病床数は全国で計119779床。一部の地域を除き、全国的に病床数を約135%削減する必要があるとの見込みです。削減させる目的は単に医療費高騰を抑制させるだけでなく、病床数を削減させた分、介護施設への転換や更なる在宅医療へ促すことも狙いの一つだと考えられます。また、地域医療構想の中には急性期・慢性期病棟を回復期病棟へ再編してもらいたいという考えが強くありましたが、今回の調査で、病床機能報告による病床種別数と国が想定している病床種別数では大きくギャップが生じていました。

 詳しく申しますと、国の意向としては、急性期病棟から回復期病棟や地域包括ケア病棟へ再編させ、回復期病棟等を増加させることを想定していましたが、今回の統計で想定していた数ほど回復期病棟等が増えていなかったことが判明しました。従って、次回改定では回復期病棟等への転換を促す要件が検討される可能性があります。

 そこで、次回改定に備え、課題が議論に上がる前に中央社会保険医療協議会等が公表する情報を常に確認することを心がけて頂きたいと思います。議論されている内容は、次回改定に織り込んでくる可能性が高いと推測しており、事前に改定に備える=いかに情報をキャッチできているかとも言えます。議論内容を自院に置き換えて考え、どのような改定内容となってもいいように、様々なパターンを想定しておくことが、次回改定に備えての現段階でできる備えだと考えます。

 末筆となりましたが、梅雨明けも近づき、夏本番を迎える頃、どうかお健やかにお過ごし下さい。

「職種別退院支援パス」とは?

マンスリーコラム「経営に一言」2017.06.01

 入梅の候、皆様におかれましては、ますます、ご清祥のこととお喜び申し上げます。

 ゴールデンウィークが終わり中だるみを感じる時期ではございますが、時間的余裕がある時期こそ、気持ちを引き締め、次の改定に備えていただきたいと存じます。忙しい時はなかなかできない、院内・外の連携について、深く掘り下げて考えてみることもおすすめです。

 言うまでもないことですが、「連携」が充実しているか否かによって、医業経営は大きく変わってきます。たとえば、「職種別退院支援パス」に取り組まれている医療機関は多いと思いますが、これは、連携体制が整っていなければ、運用できません。このパスは、入院から退院までの一連の流れで、関係職種がどのように関わり、情報交換を行い、スムーズに在宅や施設へ患者を回していくのか。いつまでに・何をすべきか、を一覧にするもの。いわば職種別退院支援役割担当一覧表とも言うべきものですが、名ばかりの「連携」体制では、役割が発揮できていないと存じます。連携については、国も重要視しています。2016年の診療報酬改定で新設された「退院支援加算1」を考えるとわかりやすいと思います。

 「退院支援加算1」は、「退院調整加算」をベースとしたものですが、「退院調整加算」と比較すると、算定可能病棟・種別が大幅に増えているのです。つまり、国は、積極的に退院支援(院内・外連携)に取り組む医療機関を評価するというメッセージです。

 このように、連携は、今や医業経営を行う上で欠かすことのできない重点項目ですが、自院に置き換えて考えていただくと、「院内でのチーム連携には自信がない」という場合もあるようです。院内連携は、チーム医療の始発点。ここがぐらついていて、地域連携がうまくいくでしょうか。ちなみに、チーム連携とは、担当や役割を明確にするだけではありません。それを管理者がきちんと確認、統括できているかどうかも重要です。そのためには、日ごろから、信頼関係に基づいた、コミュニケーションが不可欠です。些細なことでも相談できるような関係を意識し、相手とのコミュニケーションを図るようにしてください。個人の力だけではもはや組織は構築できない時代です。時間的余裕があるこの時期に、院内においてゆるぎない信頼関係をじっくりと構築し、充実した体制を持って、次回の改定に備えていただくことを祈念しております。

 末筆ではございますが、梅雨時期、肌寒い日もございます。どうかお健やかにお過ごしください。

熊本地震から1年を迎え・・・

マンスリーコラム「経営に一言」2017.05.01

若葉の候、皆様におかれましては、益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。

早いもので、熊本地震から1年が経ちました。この1年、何度となく起きている余震に不安を覚えながら、1年を迎えたことと思います。震災後、未だに仮設住宅での生活を余儀なくされている方や断水している地域の映像をニュースで拝見する度に、胸が締め付けられる想いでいっぱいです。

東日本大震災が起きた東日本地域でもまだ完全復興とは言えない状況が続く中、熊本地震の被災地でも復興には多くの時間を要することと思います。自然災害というものは、いつ発生するか予測がつかないものであり、発生後の大きさによって、損壊や精神的ダメージは計り知れないものがあります。そのような状態から少しずつ平穏な日常生活を取り戻してきており、時間の経過とともに、自然災害に対する意識が緩んできてしまう方も多いのではと感じます。

そこで改めて、いままで災害対策として備えてきたものを見直していただきたいと考えます。災害発生後、事前対策を立てておくべきだったと後悔しないためにも、きちんと対策を整えておくことは重要です。

先日の報道で、厚生労働省は災害時に24時間体制で傷病者を受け入れる「災害拠点病院」に対し、業務継続計画(BCP)策定を義務化すると公表しました。BCPとは被災した病院のダメージを最小限に抑え、早期に回復するために備える対応を定めたマニュアルであり、BCPを策定しておくことで、災害時の安否確認などが有効に活用できます。熊本地震発生により、BCPの整備が課題として浮上しています。ぜひこの機会に関係部署で話し合い、BCP策定を行っていただきたいと考えます。

職場によっては新年度より新たな職員を迎え入れたところもあるでしょう。これを機に、新入職員向けの研修時でも、災害対策についての意識を持っていただくよう働きかけて下さい。これまでの災害で学んだ教訓や災害対策の意識を忘れないためにも、年に一度は災害対策について考える時間を設けることをお勧めします。

風薫る新緑の頃、体調を崩しやすい時節でもあります。どうかお健やかにお過ごし下さい。

医療・介護ダブル改定が迫ってきています

マンスリーコラム「経営に一言」2017.04.01

 桜花の候、皆様におかれましては、益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。

 早速ではございますが、来年度は、診療・介護報酬改定のダブル改定が行われます。昨年4月に診療報酬改定が行われ、加算算定が軌道に乗りつつある段階に、もう次回の改定の内容か、と思われるかもしれませんが、制度や在り方を「常に」検討するのは、そもそも健康保険法の基本的理念(健康保険法第二条)にあり、各種改定は、その検討を効率的に実施するためのものに過ぎません。ですから、頻回に行われることは当然ですし、前回の改定内容と次回内容は繋がっています。そうした視点で改定に向き合えば、改定は通過「点」に過ぎず、より重要なのは、それらの「点」と「点」をつなぐ間の取り組みだとおわかりになるのではないでしょうか。そして、この期間に注力される施設が厳しい改定の逆風をチャンスとし、発展し続けています。

 現在、介護保険制度において、要介護度を改善させた事業者の報酬を優遇し、取り組まない事業者の報酬は減らすことや、通所系サービスにおける効果加算(=アウトカム評価)など、結果を求める報酬の導入が議論されています。これらは、ぱっと出てきた議論ではありません。平成28年度の診療報酬改定では、すでに回復期リハ病棟にアウトカム評価が導入されており、いわば、検証済みの取り組みなのです。これらの流れを読み解いている施設は、「現在は、レスパイト中心のメニューとなっているが、これはもはや当然。今後は、利用者のADLIADLの改善につながるメニューを充実させていこう」と考えを巡らせ、すでに実施に移しておられます。最近では、介護施設共通の加算である経口維持加算対象者の要件を緩和した後、診療報酬でも摂食機能療法の算定患者要件や栄養指導算定患者要件が見直されました。

 このように、国は今、医療・介護の区別なく、手応えある制度は、順次導入させています。医療だから、介護だからというフレームワークはもはや通用せず、重視すべきは、地域包括ケアシステムを構築するにあたり、整合性があるかないか。だからこそ、幅広い分野にアンテナを広げておくことは必要です。

 末筆ではございますが、春爛漫の折、どうぞお健やかにお過ごしください

今後、介護系サービスに求められるものとは?

マンスリーコラム「経営に一言」2017.03.01

春陽の候、皆様におかれましては、益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。

今年もインフルエンザが流行しましたが、各自対策は万全に整えておりましたか。今年度もし対策が及ばず、感染が拡大してしまったのであれば、反省点を踏まえ、来年度は更なる対策の強化を徹底して下さいますようお願いいたします。

さて、先月号でも次回の医療・介護同時改定に見据えての動きについて少し触れさせていただきましたが、今回は介護についての情報をお伝えいたします。

まず一つ目に、自治体へのインセンティブを導入する意向です。現在の介護報酬では、介護度の改善度合いが高い自治体の介護保険点数を上げ、評価していく方向性で議論が進んでいます。要は、介護度が改善された自治体にはインセンティブがつくということです。

二つ目に、「効果加算」の導入です。今までは実施・達成すれば算定可能だった加算が、効果が出なければ評価されず、個々の介護サービスは結果を求められる仕組みへ見直される予定です。いつまでも職員が利用者に対して“してあげる”の意識ではいけないというメッセージなのかもしれません。

他には、リハビリテーションマネジメント加算Ⅱを算定していない事業所は、デイサービスへの転換が求められる可能性があることや、社会参加支援加算の新設により、デイケアは卒業する方向性が示されています。

以上の内容を踏まえて考えたところ、通所系には今後、“アウトカム評価”が求められることが推察できます。結果が全てとまでは言いませんが、やはり結果として表れない事業所は認めないという方向性へ変わってきているように思います。厳しいようですが、結果が求められる以上は、結果に伴う内容への見直しが必然となります。

改定まで約1年あります。まだ1年あると考えるのか、あと1年しかないと捉えるのか。1年とはいえ、過ぎてしまえばあっという間です。各々の取り組むべき内容を明確にし、先を見据えた取り組みを心がけましょう。

末筆ながら、年度末の多忙の気忙しい折とは存じますが、皆さまのますますのご多幸をお祈り申し上げております。

 

医療・介護診療報酬同時改定を控えた動き

マンスリーコラム「経営に一言」2017.02.01

向春の候、皆様におかれましては、益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。

さて、来年4月に医療・介護診療報酬改定が控えております。まだまだ先の話だ、と考えておられる方も多いかと存じますが、どのような取り組みでも準備期間に数ヶ月はかかるもの。すでに明らかになっていることから向き合い、取り組みを開始して下さい。

例えば、平成29年度より、高額療養費・後期高齢者の保険料軽減特例・入院時の光熱水費相当額・高額介護サービス費の見直し、高額薬剤(オプジーボ)の薬価引下げ、介護納付金の総報酬割の導入が施工される予定です。また、平成30年度以降は、金融資産等の保有状況を考慮に入れた負担の在り方、かかりつけ医の普及の観点からの外来時の定額負担、市販品類似薬に係る保険給付・介護保険における利用者負担割合・生活援助サービスその他の給付・福祉用具貸与の見直しも検討される見通りです。高額介護サービス費や入院時食事療養費、入院時生活療養費などについては、具体的な数字も公表されていますので、現時点でもやるべきことはいくつもあると思います。

もう少し俯瞰して今後のことを考えてみますと、これまでの医療や介護は、それだけで独立したサービスといえましたが、今後は、医療・介護の連携がより重要で、さらにその2つに加え、福祉の視点も重要になると思われます。

ご承知の通り、福祉とは、人の「しあわせ」や「ゆたかさ」ですが、このテーマに医療施設や介護施設としてどう向き合っていくのか。それこそ、一朝一夕ではクリアできません。「慎重故に動けない」ということもあるかもしれませんが、周りはどんどん動いているのです。動かないことがリスクになることも忘れずに、改定となる時期をただ待つのではなく、組織として一丸となり対策を立てることをお勧めします。

また、平成29年度から処遇改善加算の見直しによる手当の増額があります。介護職の人材確保、離職防止の観点からも新たな加算算定は各事業所の安定経営に不可欠ですので、届出の見直しも忘れないようにお願いします。

末筆ながら、寒さが一段と厳しくなっておりますが、皆さまのますますのご多幸をお祈り申し上げております。

 

介護職員処遇改善加算の本質とは!?

マンスリーコラム「経営に一言」2017.01.01

謹んで新春を御祝い申し上げます。旧年中はひとかたならぬご高配にあずかり厚く御礼申し上げます。

さて、新年を迎え、気分も新たに課題への取り組みを決意される方々も多いかと存じます。医療・介護業界は言うまでもなく、ここ数年は慢性的な人材不足とのニュースをよく見聞きします。他産業でも人材不足ということは、医療・介護業界ではまさに「人の取り合い」ということになろうかと思います。
人材の確保に関連して、介護保険においては、平成294月より実施予定の新しい介護職員処遇改善加算の議論が大詰めを迎えております。既存の加算よりさらに1万円程度の金額の上乗せが検討されていますが、既に既存のいずれかの加算を算定している事業所も少なくないと思われます。今回検討中の新たな加算の体系を拝見しますと、最もランクの高い加算と低い加算では、実に月額25千円程度の差(理論値)がつくことになるようです。仮に近隣の事業所がよりランクの高い加算を算定している場合、ランクの低い加算を算定する(もしくは加算を算定しない)事業所の給与水準が低く見えてしまい、求人の条件の段階で採用の機会を逃すおそれがあります。募集の段階では、まずは求人票に目を留めてもらうためにも、加算等を含めた条件の提示方法の工夫も必要ですが、実は処遇改善加算の核となるところは、支給金額そのものとは別のところにあると考えています。
それは、処遇改善加算でよりランクの高い加算の要件となっている、賃金体系を含めた「キャリア体系」の整備です。求職者は、給与以外に研修や休暇など、他の事業所よりも魅力のある条件を提示する求人に目を留めますし、「やり甲斐」なども重要視されるポイントのひとつです。もともと医療・介護業界を志す人たちの中にはケアそのものにやり甲斐を感じる方々も少なくありませんが、研修体系などの間接的にやり甲斐につながる部分を充実させるためには、余裕のある人員配置ができる体制が必要となります。つまり、基準以上の人員の確保が必要条件になるということです。また、やり甲斐は、職場の透明性や公平性、それらを言い換えるならば、例えば「風通しの良い職場」や「明確な基準のある賃金体系」といったものが確保された上に成り立つものかと思いますが、そういった部分を構成する一翼がキャリア体系の整備に通ずるのではないかと考えています。要するに、キャリア体系を整えなければ、今後益々人員の確保が難しくなると言っても過言ではありません。キャリア体系とは、端的に申し上げれば、既存の「キャリア段位制度」のようなものですが、キャリア段位制度等を取り入れることは、やり甲斐につながる職場環境の一端を整え、より高いランクの加算の算定を可能とし、結果として余裕のある現場づくりにつながるという好循環を生み出す契機にはならないでしょうか。
処遇改善加算の行く末は今後の政策によって大きく左右されますが、まだ当面は継続される方向と予測しております。加算のランクアップを口実として、いまここでキャリア体系の整備を図ることは、今後の介護事業経営において必ずプラスになります。ここ数年はランクの低い加算を算定していた事業所においても、この機会に思い切ってランクの高い加算への対応を検討されることをお勧めいたします。

末筆ではございますが、本年もより一層のご支援ご厚情を賜りますよう、どうぞ宜しくお願い申し上げます。

 

施設基準の維持・管理は、「経営管理」そのものです!

マンスリーコラム「経営に一言」2016.12.01

初冬の候、皆様におかれましては益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。

師走を迎え、本年も残すところあとわずかとなって参りました。市中も何となく気忙しくなる時期ではございますが、最近、医療機関にうかがうと、地方厚生局による適時調査の話題を耳にする機会が増えました。

ご承知の通り、「適時調査」は、厚生労働省の担当官が医療機関に訪問して届出項目の施設基準等が遵守されているのかを調査するものですが、その結果、基準違反が確認されると、相当の診療報酬の返還を命じられる場合もあり、調査実施通知を受け取ったら何となく落ち着かないという方も多いと思います。
適時調査の実施件数は、年々増加傾向にあります。これは、全国的に調査員等の体制が整い、定期的に医療機関へ訪問調査に入れるようになったことが大きく影響しているのですが、適時調査の件数の増加に伴い、それによる返還金額も年々増加傾向にあります。厚生労働省の資料によると、平成26年度の実績では、実に65億円にも上っています。

実際に今年適時調査を終えた医療機関に話をうかがうと、施設基準や算定要件となっている内容について、確認される部分がより細かくなっているという話をよく聞きます。例えば、人員配置については、常勤・非常勤の別、専従・専任の確認、有資格者や研修修了者の証明書など、より精緻な内容になっているようです。人員に関する部分は流動的に変化が生じやすく、届出から時間が経つにつれ、届出時の内容に変化が見られることはよくあることです。
また、つい先日も、ニコチン依存症管理料の敷地内禁煙の要件が職員の喫煙行為によって徹底されていなかったことが発覚して、その分の診療報酬の自主返還が行われた旨の記事が小さく新聞に掲載されていました。要件としてはごく基本的な内容でも、職員に周知徹底されていなかったことが大きなリスクにつながることがわかる事例だったと印象に残っています。

このように、施設基準に関しては、一度届出を行って終わりということではありません。ですが、自院においてはどうでしょうか。届出に向けて苦労して実績を作ったのに、届出が済んだら安心して、その後全く要件を再確認することなく放置しているということにはなっていないでしょうか。何かしらの立入調査が入る直前に慌てても、ほとんど対策はできません。安定した医業経営に向けては、届出た項目の施設基準が継続的に維持されているのかを定期的に確認する取り組みが必要不可欠です。少なくとも、病床を持つ医療機関では入院料そのものにかかる部分、無床診療所においては診療行為別にみたときに最も収入が多い項目について、施設基準の管理担当者を決め、継続した確認を行うことが肝要と考えます。一見地道ですが、これは「経営管理」そのものなのです。なお、管理業務については、現場の一担当者に任せ切りにするのではなく、事務部門とも協力して要件の確認を徹底する体制を整えることが大事です。

全国的に寒暖差が大きい日が続いております。どうぞお身体ご自愛ください。

 

来年は報酬改定が無い年と油断していませんか?

マンスリーコラム「経営に一言」2016.11.01

深秋の候、皆様におかれましては益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。

さて、本年も残りが少なくなってまいりました。今春は診療報酬改定が行われましたが、来年度は診療報酬も介護報酬も改定の無い谷間の年です。2年または3年に1回の改定の度ごとに対応に追われる医療機関・介護事業所にとっては、来年は少し落ち着いている年とお考えの方々もいらっしゃるかもしれません。

しかし、です。再来年度は診療報酬と介護報酬の同時改定の年となります。団塊の世代が全て75歳以上となる2025年に向けて国が制度改革を推し進めていく中で、同時改定の機会は再来年度を含めて残り2回しかありません。同時改定の際には、医療と介護の各制度の見直しがドラスティックに行われることが予測され、あと2回の同時改定で国が目指す将来像を実現可能なレベルにまで方向付けるということになります。つまり、再来年度に向けた議論は既に始まっているということをいまから意識していただきたいのです。

例年、診療報酬よりも介護報酬における議論の方が先に進みます。また、報酬そのものより制度全体の課題の検討がまず行われるため、再来年度の同時改定に向けても、年末にかけて介護保険の制度改正の議論が進んでいます。例えば、現在「社会保障審議会・介護保険部会」で議論されている内容は、地域包括ケアシステムの推進と制度の持続可能性の確保が柱ですが、今後も年末に向けて議論が重ねられる予定です。今後重要なテーマとして残っているのは、「利用者負担」、「費用負担(総報酬割・調整交付金など)」、「被保険者の範囲」、「在宅医療・介護の連携等の推進」、「慢性期の医療・介護ニーズに対応したサービス」などとなっています。厚労省の提案を含めたこれまでの議論では、どちらかと言えば負担の在り方など制度の持続可能性の確保に重点が置かれており、地域包括ケアを推進する取り組みついてはまだ具体像が見えていない状況ですが、年末にかけて具体的に議論される予定となっています。

また、「社会保障審議会・介護給付費分科会」では介護報酬改定の議論が行われていますが、今後検討される予定なのは、「ロボット・ICT活用の事業所に対する介護報酬や人員・設備基準の見直し」、「特定事業所集中減算の見直し等を含めた居宅介護支援事業所の運営基準等の見直し」、「通所リハビリと通所介護の役割分担と機能強化」、「通所リハビリでの専門職の配置促進や短時間サービス提供の充実」、「地域密着型サービスの人員要件や利用定員の見直し」、「特別養護老人ホーム内での医療ニーズや看取りへの対応」などです。詳細は別として、議論する項目は既に大筋で決まっています。ちなみに、先に発表された「ニッポン1億総活躍プラン」に盛り込まれた介護人材の処遇改善についても議論が始まっており、キャリアアップの仕組みの構築と月額平均1万円相当の処遇改善を行う方針で、介護報酬の中での対応が検討されています。

各医療機関・介護事業所においては、特に、2割負担となる利用者数の把握と負担増による利用回数の減少、地域支援事業に移行する予防給付者(訪問介護・通所介護)の回数制限の有無、1回あたりの単価の減少額などを把握することがまず必要となります。あわせて、報酬改定に向けて検討されている項目と内容を議論の段階からしっかりと把握しつつ、自院・自施設における取り組み課題を明確にし、対応策をいち早く検討することが重要と考えます。

末筆にて失礼ではございますが、時節柄どうぞお身体ご自愛ください。

 

いますぐ医業・介護経営に活用できそうな制度、ご存じですか?

マンスリーコラム「経営に一言」2016.10.03

秋麗の候、皆様におかれましては益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。

早速ではございますが、設備導入や採用にかかる補助金や優遇税制など、経営に関わる各種の公的な助成制度があることを日頃から意識されているでしょうか。本業で常日頃お世話になっている厚生労働省が管轄する助成制度を御存じの方は多数いらっしゃるかと思いますが、それ以外にも、医業経営・介護経営に活用できそうな助成制度が少なからず存在しております。

例えば、経済産業省が管轄する「生産性向上設備投資促進税制」は、平成29年3月末までと、あと半年程度しか期間が残っていませんが、対象となる設備投資を行った際、特別償却50%(一部は25%)または取得価額の4%相当(一部は2%)の税額控除が適用される制度です。対象となる設備投資をお考えなら、すぐに活用できるかもしれません。その要件から、医療機関において具体的に対象となる設備投資の例を挙げますと、電子カルテや検査機器などが対象となる設備かと思われますが(なお、CTやMRI、エコーなどの検査機器は、事前に投資計画を作成して地方経済産業局に提出しなければ対象とならない)、いま現在で要件に該当する設備投資を検討中の方々においては、一度詳細を確認しておいて損はない制度とも言えます。

また、採用に関する部分で言えば、数年前から同様の助成制度が導入されていますが、パートを正職員に雇用する場合等に活用できる「キャリアアップ助成金」や、正職員の研修受講費用等の一部を助成する「キャリア形成促進助成金」、その他、高齢者や女性の活躍促進に関する助成金も設けられています。

先日も、平成27年度の医療費の総額が40兆円を突破し、過去最高に達したとのニュースがありましたが、社会の高齢化等に伴い、年々医療費と介護費が増え続ける中で、診療報酬においても介護報酬においても、今後全体として大きなプラス改定になることはまず望めません。公的保険制度に事業収入の大部分を頼っている医療機関や介護施設においては、報酬改定のマイナスは言うまでもなく経営にとって大きな痛手です。だからと言って、経費部分がそれに合せて減ってくれるわけではなく、むしろ物価上昇に伴って益々経費高となることが予測されます。そのため、このような助成制度をうまく活用しながら、経営全体としてはプラスとなるような努力を、いままで以上に真剣に検討しなければならない時期にきていることは間違いありません。税制に関しては税理士や公認会計士、雇用関係に関しては社会保険労務士など、専門家もうまく活用して、マイナス改定の影響を少しでも相殺できるように、いま当院・当施設、当法人で活用できる助成制度がないか、日頃から情報収集をしておくことが大事です。特に公的な助成制度には明確に期限が設けられており、毎年何かしらの新しい内容が追加になってはいますが、管轄する省庁が異なるとどうしても情報の入手が遅れがちになります。日頃からどういった情報提供をしてもらいたいのか、関係する専門家にお願いしておいてはいかがでしょうか。

猛暑だった今夏も終わり、朝晩は随分と過ごしやすくなりました。季節の変わり目のみぎり、どうかお元気にお過ごしください。

 

医療機関等の災害への備えは他人事ではありません

マンスリーコラム「経営に一言」2016.09.01

初秋の候、皆様におかれましては益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。

さて、昨今、1年365日、毎日何かしらの記念日が設けられておりますが、9月1日と言えば、言わずと知れた「防災の日」です。この日にあわせて防災訓練を行うという医療機関も多いことと思います。

「防災の日」の歴史を紐解けば、1923年の関東大震災まで遡りますが、今年も熊本での大地震の発生など、毎年必ずと言っていいほど、どこかしらで災害が起こっているような状況です。医療機関や介護施設においては、その性格上、いわゆる「災害弱者」と呼ばれる方々が日頃の“お客様”の大多数を占めますから、年数回の防災訓練においても、災害等のニュースを見聞きするたびに真剣さの度合いが増すというところではないでしょうか。

医療機関や介護施設では、定期的に行政の立入調査などが行われる関係で、各施設には必ず防災マニュアル(防災規程)が備えられているはずです。しかしながら、そのマニュアル・規程の作成時には、本当の意味で当事者としての危機意識をもって臨んでいたのか、いま一度考えていただきたいと思っております。即ち、実際に災害等に遭遇した際に、本当に既存のマニュアル・規程が機能するのかということを、そこで働く皆様方とともに改めて検証していただきたいのです。行政の指導があるからとりあえず揃えているといった程度の内容に過ぎなければ、残念ながら形骸化していると言わざるを得ません。

医療の診療にかかる部分は、その手順等の多くが標準化・マニュアル化されていますが、これはヒューマン・エラーを防止するという観点からも進められているものです。ですが、災害時はどうでしょうか。災害時には予想だにしなかったことが起こるとは言え、とっさのときには冷静に行動はできませんから、想定され得ることはマニュアル化しておき、不測の事態に備えて繰り返し訓練しておく必要があるのではないでしょうか。まったく月並みな発想ですが、こういった備えこそが、防災意識そのものだと思うのです。

過去の教訓からあらかじめ何を備えておいた方がいいのかについては、必ず災害後に検証されています。折を見てそういった情報に触れ、定期的に自施設の足元を見つめ直すという作業は、やはり必要です。特に、医療・介護・福祉サービスは公共性の高いサービスですので、日頃の業務の忙しさはあるかと思いますが、地域の住民の方々とともに、地域の備えとしてサービスの在り方を考えておかなくてはなりません。

ただ、実際に災害が起こってしまうと、医療・介護・福祉サービスの提供は、そこで働く方々の使命感をもって支えられていると言っても過言ではないでしょう。ときにまた、職員も同様に被災者であることに変わりはないという事実が、サービス提供側を知らず知らずのうちに疲弊させます。防災マニュアル・規程の見直しの際には、患者・利用者、地域住民のためだけでなく、災害時のサービス提供の持続可能性という視点から、職員のケア等についても話し合っておくべきと考えます。

暦上は秋となりましたが、まだまだ暑さが残ります。夏の疲れが残るこの時期、どうかお身体ご自愛くださいい。

 

経過措置期間が終わる前に早めに対応を!

マンスリーコラム「経営に一言」2016.08.01

暮夏の候、皆様におかれましては益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。

早いもので今年ももう8月に入り、暦の上では秋の入り口に差し掛かります。診療報酬改定時に設けられる「経過措置」期間は、短いものでは半年、長いものになりますと次の改定まで2年間程の期間が設けられることがございますが、4月改定後、まず最初に経過措置期間が終わる9月末が近づいて参りました。

経過措置期間と言えば、要件などが改定前後で大きく変わる際にその準備期間を設けてもらっているという認識だと思いますが、このとき、期限が9月末までなら、9月に入ってから具体的な対応をすればいいと考えて準備されている方がいらっしゃれば、失礼ながらそれでは遅いと言わざるを得ません。院内の関係者への周知徹底だけでも、実際には1ヵ月はかかることが予想されるからです。ましてや、患者さんとそのご家族をはじめ、外部の連携先との連絡・調整などが必要であれば、その倍以上の調整期間を要することは容易に想像できるかと思います。

端的に申し上げれば、期限が終わる前に出来る限り早めに対応していただく必要があるということなのですが、例えば、9月末に期限を迎える項目に、リハビリの「目標設定等支援・管理料」への対応が挙げられます。これは、維持期リハビリの患者をスムーズに医療保険から介護保険へ移行させるための管理料として今春新設された項目ですが、その要件に「各疾患別リハビリテーション料の標準算定上限日数の3分の1を経過した時点」で目標設定等支援・管理シートを作成していなければ、対象となる疾患別リハビリ料が減算となるとあります。対象は、脳血管疾患等・廃用症候群・運動器の各リハビリテーション料を算定する患者のうち要介護被保険者のみですが、10月1日からリハビリ料が減算となるのを回避するためには、10月1日までに標準算定上限日数の3分の1を超える患者について、少なくとも9月末までに当該管理料を1回算定しておく必要があります。そうなると、まず日数の3分の1を超える要介護被保険者の抽出から始まって、シートの作成(評価から介護サービスの見学の段取りなどを含む)、患者・家族への説明と同意までを10月1日までに終わらせることになります。発症時から自院で診ているという患者であればまだしも、転院してきた患者、他院から紹介を受けた患者であれば、そもそもリハビリ日数の期日管理はされているでしょうか。こうして大まかに考えただけでも、到底1ヵ月では調整できそうもないと感じてしまうのは当方だけではないと思います。

十分に準備期間があれば、期日から逆算して段取り良く進めることができるかもしれません。しかしながら、9月末までが期限ならあと2ヵ月程度ですので、まずは早急に院内の関係者を集めて打ち合わせをすると同時に、しなければならないことをリストアップして、その優先順位と、誰が・いつまでにするのかを決めて、すぐにできるところからでも着手されることをお勧めします。

まだまだ残暑厳しき折、体調管理などには十分にご注意ください。

 

介護療養病床転換策の選択肢として・・・

マンスリーコラム「経営に一言」2016.07.01

小暑の候、皆様におかれましては、益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。

4月の診療報酬改定から早や3ヵ月。いまだ様々な届出内容が経過措置期間の中にあるとはいえ、既に改定後の変化を実感されている医療機関も多いことでしょう。

入院医療に関する今春の改定内容を振り返ると、一般病棟においては「重症度、医療・看護必要度」とその重症者割合の見直しが話題の中心でしたが、一方で療養病棟においては、「療養病棟入院基本料2」への重症者割合の要件(医療区分2・3の患者割合が5割以上)導入が目玉でした。これは、いま現在は介護療養型医療施設(介護療養病床)として届出を行う医療機関においても、今後の行く末を考えさせられる内容ではなかったでしょうか。

ご承知の通り、介護療養病床は平成29年度末(平成30年3月末)の廃止が決定しています。過去の経緯から、今回も延期かと高を括っている医療機関もあるかもしれませんが、介護療養病床を持つ多くの医療機関では、ここ数年、動向を注視しつつ、廃止後について検討を重ねていらっしゃることと思います。

介護療養病床の対応策は、まず、①医療の病床への転換、②介護の施設として残る、③病床の廃止(返上)という大きく3つの選択肢が考えられます。このうち、医療への転換を決断された病院では、通常、真っ先に候補としてあがるのが、「療養病棟入院基本料」の届出(医療療養病棟)です。しかし、既述の通り、4月より重症者割合が導入され、単に医療療養病棟へ転換するだけではこの要件が満たせないことも予想されます。と申しますのも、要介護度と医療区分は必ずしも比例せず、要介護度が高いからといって医療区分が高いとは限らないからです。

もうひとつ、医療の病床に転換する際の課題としては、看護職員数があります。介護療養病床の場合、最も基準の高い報酬でも、医療の看護配置に換算すると30対1相当です。療養病棟入院基本料2は看護配置25対1以上ですので、看護職員数が満たせない場合は、そもそも医療の病床への転換自体が難しいでしょう。

逆に、看護職員数なら十分に要件を満たせるという場合なら、もう少し選択肢が広がります。医療療養病棟だけでなく、より高い看護配置の入院料の届出も可能かもしれません。例えば、地域包括ケア病棟への転換や、医療療養病棟の一部を地域包括ケア入院医療管理料(病室単位)として届出る(いずれも看護配置13対1以上)等です。対象患者の要件を満たすことができれば、回復期リハビリテーション病棟入院料(同15対1以上)の検討も可能ですが、看護配置が急に高くなる分、ハードルが高いと感じられるかもしれません。しかしながら、このうち地域包括ケア病棟入院料(入院医療管理料)には対象疾患の要件がありませんし、本来の役割が高齢者を対象とした病棟(病床)です。地域内の医療区分の高い患者の確保は既存の医療療養病棟と競合する可能性が高いため、看護配置がどうにかクリアできるなら検討していただく価値は十分にあると考えます。

末筆となりましたが、梅雨明けの折、どうぞお身体ご自愛ください。

 

実質上の平均在院日数短縮!?

マンスリーコラム「経営に一言」2016.06.01

忙種の候、皆様に置かれましてはますますご清栄のこととお慶び申し上げます。

早速ではございますが、今年度の改定において、ホッと胸を撫で下ろしたのは、平均在院日数の短縮が実施されなかったことではないでしょうか。ただ、診療報酬改定により日数短縮が図られずとも、実質は短縮につながっている改定があったことはご存知でしょうか。

それが、DPCの算定ルールの見直しです。DPCでは、入院日数に応じた点数の逓減制が導入されており、一定の期間(入院期間Ⅲ)までは包括点数が設定されています。今回、煩雑となっている、入院期間Ⅲの日数を30日の整数倍としました。つまり、これまでの入院期間25日であれば30日に、40日であれば60日にという具合です。ただこれでは、入院期間が徒に長くなってしまうため、入院期間Ⅲの点数については、『これまでの点数』と『平均在院日数を超えた期間の1日当たりの資源投入量の平均値』の低いほうに設定するとなりました。入院期間が長くなれば、治療の必要性(つまり資源投入量)が減少するので、1日当たりの点数は相当低くなり、入院期間Ⅲまで患者を入院させてしまうと、減収となってしまう仕組みです(実際にこの影響から減収となっているDPC病院があります)。よって、DPCで算定している病院は入院期間Ⅲとなる前、あるいは入院期間Ⅲに入ってすぐに退院させようとするでしょう。実質的には平均在院日数短縮です。

一般病棟の平均在院日数が早まれば、当然、次の病院(病棟)の回転を早めなければ、新入院患者の受け入れができません。つまり、一般病棟から受け入れる病院(病棟)の平均在院日数も短縮することが考えられます。また、今年度、有床診療所にも「有床診療所(療養病床)在宅復帰機能強化加算」が新設され、診療所であっても早期に退院させて回転させていくことが求められています。この加算の新設により、老健を含めて医師の配置要件のある全ての医療・介護に、在宅復帰率が要件(あるいは加算)として設定されました。医療機関の経営において、入院患者を在宅復帰させていくことが当たり前に求められるようになってきたのです。

目に見える形でなくとも実質上の短縮が図られた平均在院日数。このような情報をいち早くキャッチし、それに対応できた医療期間・介護施設(事業所)とそうでない所とでの差は格段に広がっていきます。というのも、この情報を受けて、DPC病棟をもつ医療機関へ一気に渉外活動の範囲を広げて連携強化に努めている医療機関が事実あるからです。介護事業所(施設)においても、再三に渡りお伝えしておりますが、診療報酬は関係ないではなく、大まかな流れを把握することで、自組織の次なる一手を先に打つことが可能になります。

情報をいかにキャッチしそれを自組織においてどう活かすか、公的なサービスと胡座をかいていては、この激動の変化から振るい落とされてしまいます。

末筆ではございますが、梅雨冷えの肌寒い日もありますので、体調をくずされませんようお元気でお過ごしください。                           

 

熊本・大分地方の震災にあたりお見舞い申し上げます。

マンスリーコラム「経営に一言」2016.05.02

熊本・大分地方を中心とする震災で、被災された皆様、そして、皆様のご家族、ご親族の方々へ、こころよりお悔やみ申し上げます。 また、地震により住み慣れた家や職場の建物が損壊し失われてしまった方、いまだに余震が頻発しつづける中、避難所生活や車中での寝泊まりに、不安な状態で、不自由、不便な暮らしを強いられ、大変な苦痛や苦労の中で過ごしておられることに、心よりお見舞い申し上げます。 被災された方、さらには、その救助・支援に日夜携わっておられる方とその家族の方、お一人おひとりの方の悼みや痛み、その労苦は決して薄れることはないと想います。ですが、少しでも、わずかでも平穏な時間が訪れますように、ひたすら願うばかりでございます。   このようなとき、拙速ながら、お伝えをさせていただきたいことがあります。 私たちは先の東日本大震災の時に平穏だった日常生活の中で、いつどのようなことで災害を被るか、その予測をすることはできないということを学びました。ただ、時の経過とともにその意識が少し緩んできていたのは私だけではないでしょう。 今一度、その備えを見つめなおしていただきたいのです。例えば、日頃より、万一に備えた非常時の連絡網(とくに携帯メールアドレスやメーリングリスト)の整備(情報共有・リスト作成等)を必ず行っていただき、かつ、定期的(実行月を決めて)に更新を行っていただきたいのです。 さらに、災害等の発生時、情報の受信・発信の一元化が大切なことと想いますので、その担当者と役割分担を明確化し、こちらも定期確認されますようおすすめ申し上げます。 最後に、被災された方々の一日も早い復興を心から願い、微力ではございますが自分にできる事を続けてまいりたいと思っております。

 

4月のご挨拶

マンスリーコラム「経営に一言」2016.04.04

陽春の候、皆様におかれましては、益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。

4月に入り、診療報酬改定による新たな加算の届出、あるいは既存の加算の届出なおしなどの作業に追われていることと存じます。

早速で恐れ入りますが、医療機関、介護事業所(施設)ともに改定後の届出にあたり、「どの加算が新たに算定できるのか?」、加算項目に人的要件があれば「誰を専従(あるいは専任)で届出るのか?」など議論し届出ていると思います。しかし、医療機関、介護施設に共通して見受けられることは、のど元過ぎれば何とやらという状況です。

例えば、日々の業務の忙しさに追われて、研修要件を満たしていなかったり、カンファ(委員会)に参加しなければならないメンバーの出席がなかったり、あるいは、届出していた職員の退職(産休・育休の取得)があったりなど、施設基準維持ができていなかったという状況はご経験があるのではないでしょうか。この場合、決まって、適時調査や個別指導の際に慌てて体裁を整えることになってしまいます。調査や指導を終えた直後は組織も引き締まっているのですが、残念なことに時間の経過とともに元の状態に戻るケースが多く、次の指導ではまた同様に張りぼて対応をしてしまうという組織も見受けられます。最悪な場合、施設基準の維持ができていないと指摘され、返還といった事業運営に大きく影響を及ぼしてしまうこともあります。

このようにならないための対策は一つしかありません。最低半年に1回、要件を満たしているかどうかチェックするだけです。「そんな大変な作業・・・」といった声が聞こえてきそうですが、難しいことではありません。

まず、診療報酬(介護報酬)項目ごとに要件をチェックできるリストを作成してください。このチェックリストは診療報酬(介護報酬)を解説する本に付いていることもありますので、それを参考にしても構いません。そして、定期的にチェックを行うだけです。また、カルテの記載要検討等については、数冊サンプリングして記載や添付があるかどうかをチェックすれば全てのカルテをチェックする必要はないのです。ルールを決め定期的に自主点検を行えば決して大変な作業ではありません。

改定の時期こそ導入するよい機会です。担当者を決めて、組織的に対応されることをお勧めします。当たり前ですが、届出ることが目的ではなく、施設基準を維持し、一つでも多くの加算が算定できれば、質の高い医療・介護サービスの提供につながるものと確信しております。

末筆失礼ではございますが、春爛漫の折、どうぞお健やかにお過ごしください。

3月のご挨拶

マンスリーコラム「経営に一言」2016.03.01

早春の候、皆様におかれましては、益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。

さて、前号に引き続き診療報酬改定の話題で失礼と存じますが、2月10日に答申が出されました。

今回の改定でいくつか注目すべき項目がありますが、その一つが間違いなく「栄養食事指導料」ではないでしょうか。これまで130点だった外来・入院栄養食事指導料は双方ともに初回260点、2回目以降200点と大幅に評価が引き上げられました。さらに、これまでの対象者に加えて、がん患者、摂食・嚥下機能が低下した者、そして、低栄養状態にある者と対象者も一気に広がりました。

一昨年の介護報酬改定を思い出してください。介護施設共通で算定可能な経口維持加算については、造影検査等の要件が外され、ミールラウンドを行い、水飲みテストで対象者の抽出を可能にしました。そして、さらにそれまで不可能だった療養食加算との併算定まで認められました。

これらが何を意味するのか。それは、最期まで口から食べる(食べ続ける)支援を積極的に行って欲しいとの国からのメッセージです。

自院に目を向けてみてください。「入院・外来の栄養食事指導料は算定されていますか?」と、このように伺うと「もちろん算定しています」といった声が多数聞かれます。では、「対象者、全員に対して行っていますか?」と伺うとどうでしょうか。「はい」と答えられる医療機関は少ないのではないでしょうか。大切なことは算定の有無ではなく、算定率です。それには、まず、対象者の抽出をしなければなりません。

さらに算定率が低ければ100%に持って行くための課題の把握も必要です。対象者は栄養食事指導を必要としている患者です。そのような患者が多数おられるにもかかわらず、例えば、「医師が指示を出してくれない」「メニュー作りで忙しいからできない」といった自院の都合を押しつけていいのでしょうか。医師が指示を出してくれないではなく、医師に指示を出してもらうよう逆提案を行う、メニュー作りにおいては平均在院日数に応じた(=短縮化)サイクルメニューの採用を行う、など解決策はあるはずです。

繰り返し申し上げますが、介護報酬改定、診療報酬改定の両改定で「口から食べ続ける」支援に大幅な評価を行ったということは、積極的に取り組んでほしいということです。これは、口から食べられなければ、胃ろう造設となり結果、寝たきりとなってしまうからです。

加算項目に対して、一喜一憂するのではなく、なぜ評価が拡充されたのか、なぜ要件の緩和がされたのかなど、そこにある隠れたメッセージを読み解くことは、自院のこれからの進路を決めるうえで重要なポイントとなってきます。

末筆失礼ではございますが、年度末の気忙しい折、どうぞ、ご自愛くださいませ。

2月のご挨拶

マンスリーコラム「経営に一言」2016.02.02

厳寒の候、皆様におかれましては、益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。

さて、4月に診療報酬改定が控えておりますが、ここは敢えて介護事業に従事されている皆さまにメッセージを発したいと思います。それは、「診療報酬改定はわれわれ(介護サービス従事者)には関係ない」という考えを取り払っていただきたいということです。

このようにお伝えする背景には、今後、療養病床の在り方が大きく変わってくることがあげられます。ご存知の通り療養病床には、療養病棟入院基本料1(看護配置基準20対1)と療養病棟入院基本料2(看護配置基準25対1)とがあり、介護施設の一つに介護療養型医療施設があります。この三つのうち、介護度は高いが比較的医療必要度の低い患者が集まっている療養病棟入院基本料2(約7.6万床)は看護配置が経過措置中となっております。そしてもう一つ、介護療養型医療施設(約6.1万床)は平成30年3月末に廃止が決まっており、双方ともに今後、療養病棟入院基本料1等(医療区分2・3の割合が高い)への転換が難しければ、新類型として介護施設への転換が迫られていくという流れになってきています。

この新類型とは二つ想定されており、一つ目が医療機能を内包した施設系サービス(医療内法型)、そして、もう一つが医療を外から提供する居住スペースと医療機関の併設(医療外付型)です。

このような展開となれば、今後、特養や老健、さらには有料老人ホームやサービス付高齢者向け住宅を展開している事業所は、競合先が増えるということになります。この診療報酬改定の流れを知っておくと、先手をうちどこの医療機関が施設への転換を図りそうなのか情報収集することができます。さらに、どの医療機関と連携強化を図った方がいいのか自ずと見えてきます。

もちろんすぐに転換をうながすことはなく、2年間の経過措置等は設けられるでしょう。そして、2年の経過措置終了後には診療報酬・介護報酬の同時改定が行われますので一気に日本の医療・介護を取り巻く環境は様変わりすることが推察できます。だからこそ、医療機関・介護事業所ともに改定の流れを知っておくことが経営上極めて重要と云えます。そこには将来像へのメッセージが発せられているからです。同時改定という大鉈が振るわれた際に太刀打ちできる情報収集、組織体制の強化を切に願います。

末筆ながら、皆さまのますますのご多幸をお祈り申し上げております。

新年のご挨拶

マンスリーコラム「経営に一言」2016.01.05

謹  啓

新春を寿ぎ、謹んで年頭のご挨拶を申し上げます。旧年中は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。本年も変わらぬご支援のほどよろしくお願い申し上げます

さて、今年は診療報酬改定が控えており、どの医療機関も「自院に少しでも有利となる改定であってほしい」と願いながら動向を見守っていらっしゃると存じます。

ただ、いくら改定がプラスになろうとも患者の来院がなければ意味を成しません。全国各地の医療機関を訪問させていただきつくづく思うことは、「患者の集まる医療機関は地域に出向いている」ということです。

ある県の総合病院は名も知れ渡り、救急搬入も数多く、手術件数も当然多いのですが、そんな総合病院であっても、平日毎日医療講演を行っています。驚くべきことと思いませんか?しかも、医師、看護師、セラピスト、管理栄養士、検査技師、さらには医事課職員まで地域の公民館や研修センター等に出向き講演を行っているのです。講演内容は、疾患に関するテーマはもちろんですが、「血液検査の見方」や「ダイエットとウォーキング」といった病気に限らない講演テーマもあり、健康な方であっても「参加してみようか」と思わせる内容が用意されています。この講演によりすぐに患者が来院することは考えにくいかもしれません。しかし、この地道な取り組みが、一定した患者確保、増患に繋がることは言うまでもありません。

ここで「総合病院だからできること」と考えてしまわず、「自院であれば、毎日は無理でも月に1回ならできるかもしれない」、診療所であれば、「月に1回、午後が休診の日に出向いてみようか」と前向きに捉えて具体的に動いていただくことを望みます。

というのも、今後、関東や関西の一部都市を除き、人口減少により、病床が余剰となる地域が出てきます。そして国は、現在実施している病床機能情報報告制度で提出されたデータを基に稼働していない、あるいは休眠している病床を返還してほしいと考えています。つまり、医療を取り巻く環境は厳しくはなっても、楽観視は到底出来な状況に突入しているのです。その中で生き残っていくために何をすべきか。その考えをめぐらすに時に一つの起点となるのは、「診察室で患者を待っているだけの時代は終わりを迎えた」ということです。

新春の挨拶から憂慮に堪えない話題となってしまい、心苦しくもあるのですが、備えていても憂いはある時代。だからこそ、あえて厳しい提言をさせていただきました。
末筆大変失礼ながら、本年も皆様のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。

敬 具

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